高次脳機能障害
主な症状
脳が傷つくと・・・
脳は外界から送られてくる様々な刺激をとらえ、言葉や動作に置き換えたり、学習したり、記憶します。脳は記憶した知識や経験から、判断したりもします。また、人間の脳の働きにより、感じる(感情)意志などの情緒機能もあります。こうした人間特有の高度な脳の働きを「高次脳機能」といいます。
「高次脳機能障害」とは脳が損傷されて、脳の精密な情報処理や指令(高次脳機能)がうまく伝達できなくなった状態のことをいいます。「高次脳機能障害」のある方は全国で30万人いると言われており、症状は一人ひとり異なり複雑多岐にわたります。
高次脳機能障害はどうしておこるのでしょうか?
「高次脳機能障害」を引き起こす原因は大きく分けて3つです。
脳の外傷(交通事故・転落事故・スポーツ中の転倒など)
脳の炎症や酸素不足(脳炎・髄膜炎・窒息や喘息発作・心肺停止等による低酸素脳症・脳腫瘍など)
脳の血管が切れたり、詰まったりする事
(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞など)
注意障害
注意力や集中力が低下するため、継続する力やいくつかのことに注意を向けたりすることがうまくいかなる症状です。
注意障害は脳の広い範囲が損傷された場合によく起こります。
例/
ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。いくつかの事を同時にしようとすると混乱してしまう。
遂行機能障害
段取りや手順が効率よくできなくなる症状です。
遂行機能障害は前頭葉が損傷された場合によく起こります。
例/
自分で計画を立てたり、物事を順序良く実行することができない。人に指示をしてもらわないと何もできなく、行き当たりばったりの行動をする
社会的行動障害
情緒や意欲のコントロールがうまくいかず、状況に適した行動が取れなくなる症状です。行動と情緒の障害は、前頭葉が損傷された場合によく起こります。
例/
感情や欲求のコントロールができなくなり、相手の立場や気持ちを思いやれなくなる。1つの物事に固執する。意欲がなくなる。
記憶障害
今、見たり聞いたりした事を覚える力が弱くなる症状です。
記憶障害は海馬が損傷された場合に起こります。
例/
物の置き場所を忘れる。新しい事を覚えられなくなる。その為、同じ事を何度も繰り返し質問したり、聞き返したりする。
半側空間無視
右脳が損傷されると左に意識がいかない為、左側にあるものが認識できない症状があります。
例/
食事をする時に左にある物に気づかない。探し物をしていても左側を探さない。
失行
日常生活で何気なく行っている一連の動作がうまくできなくなる症状です。
例/
簡単な動作であり、何であるかも理解しているが、実際にやってみると、うまくできない。麻痺がないのに、道具をうまく使えない。
病識欠落
自分が障害を持っているということを理解しようとしない。また、障害が無いかのように振舞ったり、言ったりする。
失語
言葉の障害です。
例/
話そうとすると言葉が出てこない。相手の言っている言葉の意味がわからない。文章を読めない。書けない。
失認
目に見えている物の形や色は理解しているが、それが何であるかがわからない症状です。
例/
ある物をひとつのまとまった形として理解しているが、意味と結びつかない。